介護で積み重なる疲労、家族の負担は?
介護度にかかわらず、介護を続けることでどうしても蓄積する疲労。それは肉体的疲労だったり、精神的疲労だったり。何が疲れさせるのか?どうしたら軽減できるのか?試行錯誤しながらの日々。
目次
介護での肉体疲労・精神疲労
共働き世帯が多い今、仕事をしながらの介護になる人もいるでしょう。介護退職をする必要がある人すらいる大きな負担がこの、肉体疲労。その中で、トイレが自立の我が家でも出てきた肉体疲労の一部が以下。
1. 朝の忙しい時間の負担増
平日週4日デイサービスに通っている義母。これは非常にありがたいのだけれど、デイサービスに行くためには朝早起きをしなくてはイケナイ。
- 着替えに30~45分
- トイレに15~30分
- 食事に45分
- 歯みがきに5~10分(夜は15~20分)
6時半に起きてギリギリ間に合うかどうかの義母に合わせて、朝起こす必要がある。自分で補聴器を付けることもできないし、義母がトイレに入ると5人家族が朝1つのトイレを奪い合う形にもなる。顔を洗ったり、歯みがきをするにもタイミングを見計らわなくてはいけない。
何といっても「待つ」「我慢」ということが元々できない義母。家族が使っていれば「じゃあ後でやるから良いわ」と必ずなり、後回しにすると15分ほど余計な時間がかかることになる。時計を見ながらギリギリ時間で動こうとする義母には命取り。
そのため家族は義母の様子を見ながら自分達が今何を優先すべきか考えながら朝の支度をしなくてはいけない。もちろん他4人の家族の動きも見ながらだ。小学生の寝ぼけ頭には難しいことも多く、声を掛け合いながら動く必要がある。
2. 転倒や体調不良が気になって物音に敏感に
もう90を超えた義母。誤嚥で咳き込むことも多いけれど、誤嚥でない咳は肺炎の可能性もあるし、睡眠時無呼吸があるのかおかしなイビキも気になる。居間にいる間は義母の呼吸音や物音を無意識に気にしながらの生活。
さて寝ましょうかと2Fの寝室へ上がっても、夜中に2~3回はトイレに起きる義母の歩行器の音が気になるし、少しでも大きな音が聞こえてくれば転倒したのではないかと気が気じゃない。
転倒すれば即入院、寝たきりがほぼ確定する。肺炎も即入院対応になり、肺炎で入院となればデイサービスでがっつりやってもらっているリハビリもなくなるので、これまた寝たきりやトイレ介助が必要になるリスク満載。
自分が寝入ってしまえば気づかないのだけれども、寝付きが悪い自分には睡眠不足の大きな要因になってしまっている。
3. 「迷惑かけちゃって申し訳ない」の負担
これ、かなり想定外だった負担。
「迷惑かけちゃって申し訳ない」から「迷惑かけないようにしようと思う」のは想定内。「自分でできることは自分でやろう」は良い心がけで想定内かと思いきや、これが大きな曲者。
「食後の食器ぐらい運べるだろう」と歩行器にぶら下げたカゴに食器を入れて運ぶ
→ カゴが汚れて私達が洗う羽目になる
→ 台所まで持ってこられないのでカウンターの隅に放置し落とす
→ 手が離せない作業中でも受け取らざるを得ない
「稼げないから節約しよう」とティッシュを使いまわす
→ 鼻をかんだり納豆を拭いたティッシュで目を拭いて結膜炎
→ まだ使えると思ったティッシュを溜め込んで雑菌繁殖貯蔵
→ 捨てられ不安から電源タップそばに可燃物を隠す
結膜炎になり、排せつ物類の雑菌が付いたティッシュまで溜め込むので捨てたら、奥の電気系統そばに大量に隠すようになった義母。火事の危険性まで発展したティッシュ騒動。結果、ばい菌放置で火事の危険性重視になりました…。
4. 食事のマナーと衛生観念
元気だったころのようには動かなくなった上に、リハビリをサボりまくって回復が悪い右手。更に「もったいない病」により耳かき1杯分すら食事を残したくない義母。
手づかみ食べまでは想定内で、必要そうな場合はお手拭きを出す。でもみそ汁の味噌カス、お皿にこびりついたポテトサラダなどなどを指でこそいでは指を舐め回すのは想定外だった。お皿を舐め回すのも想定外。
全てすすって食べるから、音もものすごい。すするので誤嚥でむせこむことも多い。正面で食事をしている娘は、家でだけ食欲がなくなった。給食と、私の実家が頼りの食生活。
舐め回した指は拭くこともなく、そのままアチコチを触るから、義母が移動した後は家族が触るだろう場所を消毒して歩く毎日に…。
5. 便と、トイレと、旦那と、家族
「部屋とワイシャツと私」より多いわ。なんてこった。
起き抜けからキッチンドリンカーレベルの酒飲みの義母は便秘というものを知らなかったレベル。そんな義母は丸1日便が出ないだけで大騒ぎ。
2日目になると「出ないのよ」「どうしましょ」としつこい。そして「薬局で下剤買ってきて」が始まる。でも下剤は医者が下痢を心配する程にかなり多めに処方されているので追加は無理。グリセリン浣腸を試したが、そういう時は出ても残便感が残るらしく徒労に終わる。
摘便は怖いのでやらないが、旦那は出かかった便を手で引き出せと。そして栓の部分が解決すれば次は漏便。どうしてよいかわからないのでおろおろしている間に踏み荒らすので、床一面を掃除する羽目になる。
起きたらトイレから廊下~義母寝室まで床掃除が必要なことも何度かあった。私は朝分刻み状態なので旦那が掃除をすることになるんだけど、寝起きから臭う床掃除はキツイ。もちろん、子ども達もリビングに降りてこられないわけだしね。
便が出ないと義母はとにかくイライラするから、子ども達は義母に暴言を吐かれるのではないかと怯え、私たち夫婦はワガママで怒鳴り散らされるようになる。悪循環の始まり。
結果:どちらかというと介護は精神疲労か…
実際、仕事をしながらの対応で身体はキツイ。危険性を回避するための対応や、諸々の後始末にかなりの時間と手間を取られるけれど、それもこれも精神疲労なのだという結論。
仕事を「気晴らし~、気分転換~」なんて言いながらやってストレス解消しながらお金もらって「ラッキー!」なんて思い、笑いながら「はいはい、大丈夫だから気にしなくていいんだって!」って生活してた。
でもある日気が付いたら、突然涙が零れ落ちて「あれ?」となることもある日々。介護は終わりが見えないという事が、こんなにキツイというのを経験して初めて知りました…。